【惚れさせる方法】はっきり言って英語の勉強は無駄

地方に僅かにしかないアニメショップにアンナを連れて行ってあげた。

私とアンナが店内に入ると、いつものように店内は殺伐とする。

店内にいる冴えない男性たちは、私とアンナのほうを向いて「ヲタクの聖地に何でカップルみたいな男女がのこのこ入ってくるんだ。しかも白人女性かよ……結構、可愛いじゃねえか」というような羨ましそうな顔をする。

私はそんなヤッカミの視線を意にも介さず、ショップの棚に並ぶアニメグッズやらDVDやらを指差して「これが面白い」「これは監督が素晴らしい」などとアニメの知識をアンナに教えた。

するとアンナは、この男は自分よりもアニメを熟知しているという安心感を得て心を開き始める。

「スゴイ。日本人、ヤッパ勉強熱心」

ほうら思ったとおり、と私はほくそ笑む。

外国人でないにしてヲタクというのは「自分よりも知識を持っている人間」に出会うと安心感を得るようである。

すなわち、外国人のヲタク女性の心を掴みたいのなら、はっきり言って英語の勉強など無意味。

アニメや漫画の知識のみが彼女たちの心を動かすのである。

「いや、これくらいはまだ、ほんの序の口で……」と私は調子に乗る。

アンナは一瞬、とんでもない天才に出会ったというような驚愕の表情をした。

これは女性が恋をする一瞬前に見せる顔である。

そうして、アンナの目はキラキラと輝きだした。

私はアンナから目をそむけ、隣で私のほうを睨んでいたオタクに微笑みかけた。

そのときの微笑みは、おそらく醜い笑みだったであろうが、いわば勝利の微笑である。

私はイケメンになった気がしていた。

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